独TUIは9月29日,伊フィンカンティエーリ造船所とクルーズ客船2隻の建造契約を結んだ。就航は2031,32年を予定し,TUIとロイアル・カリビアン・グループの合弁会社TUIクルーズが運航する。この契約は去る3月に結ばれたTUI傘下の英マレラ・クルーズ向けの建造覚書に代わるもので,マレラ・クルーズの英マーケット拡大に向けた計画を,TUIクルーズの北欧マーケットでの事業に振り向けるという。建造船はマレラ向けより大型になり,フィンカンティエーリで建造が進むTUIクルーズの次世代型「InTUItionクラス」のマイン・シフ・リラックスMein Schiff Relaxなどの姉妹船となる見通し。約16万総トン,船客約4,000人で,LNGとMGO(マリンガスオイル)用の二元燃料機関を搭載する。 (TUI CRUISES)
米プリンセス・クルーズの新造船スター・プリンセスStar Princessが9月26日,伊フィンカンテイエーリ造船所モンファルコーネ工場で引き渡された。昨年竣工した次世代型「スフィア・クラス」のサン・プリンセスSun Princessに続く2番船で,177,882総トン,船客4,300人,LNGを燃料とする。10月4日にバルセロナ発西地中海12日間クルーズでデビューし,同月下旬には大西洋を渡り,11月7日からフォート・ローダーデイルを拠点にカリブ海クルーズに就く。 (PRINCESS CRUISES)
今治造船は9月26日,丸紅の協力により日本シップヤード(NSY)経由でギリシア船主からアフラマックス・タンカーを2隻受注したと発表した。アフラ型の建造は2008年に引き渡して以来17年振りで,2027,28年の竣工を予定する。同社では2000年代に行なっていたメガブロック工法を再び採用して増産体制を構築するとしており,大型のメガブロックを住友重機械マリンエンジニアリング横須賀造船所に製造委託する模様。住友重機械グループは商船建造からの撤退を発表しており,船体ブロックを大型構造物として製造すると見られる。 (住友重機械マリンエンジニアリング)
マレーシア海運MISC(Malaysia International Shipping Corp.)と韓国サムスン重工(SHI)は9月24日,プロトン交換膜燃料電池(PEMFC:Proton Exchange Membrane Fuel Cell)技術を搭載した世界初のアンモニア系水素燃料電池LR2(Large Range 2)タンカーの設計で,フランス船級協会(BV)よりAiPを取得したと発表した。韓国のPEMFC大手プロバイダーのヴィンセンが開発した技術と,同じく韓国のパナシア設計のアンモニア分解システムを統合し,115,000重量トン級のタンカーを開発したもの。これまで小型船や補助用途に限られていた燃料電池は,この設計により船舶の推進や荷役,船内需要など大電力供給を可能とし,ゼロエミッションの促進やメンテナンス・コスト削減に貢献,より広範な分野への導入の可能性が広がった。実船建造に向け船主および運航者のMISCは船舶運航,実現可能性調査などを主導し,SHIが船舶設計,システム統合,BVが規制遵守の確保,リスク評価の実施などを行なう。 (MISC)
JAMSTEC(海洋研究開発機構)と地球深部探査船“ちきゅう”を運航管理する日本マントル・クエストは9月24日,昨年掘削で使用した総ドリルパイプ長7,906メートルが,「最も深い海洋科学掘削」としてギネス世界記録に認定されたと発表した。この掘削は昨年9~12月に国際深海科学掘削計画(IODP)の第405次研究航海「日本海溝巨大地震・津波発生過程の時空間変化の追跡」で実施されたもので,巨大地震発生後の震源断層の応力蓄積・強度回復過程解明のためのデータおよびサンプル取得,水理構造解明に向けた長期孔内温度計測システムの設置に成功。掘削は世界最長と考えられ,JAMSTECと日本マントル・クエストの技術力の証明であることからギネス世界記録に申請,9月24日認定証を授与された。 (JAMSREC)
武田薬品工業は9月19日,仏トリマラン帆船開発企業ヴェラ・トランスポート社と事業提携し,同社の帆船により欧州~米国間で自社医薬品を輸送すると発表した。このトリマランは全長65.5メートル,幅24.4メートルのリサイクル可能なアルミ製で,医薬品基準に準拠した温度管理船倉を備え,積載量は600ユーロパレット(515米国パレット)。高さ54.9メートルのマスト2本を持ち,帆走のみで平均速力14ノットを発揮し,100パーセント風力により12 ~15日で大西洋を横断(港湾で最小限エンジンを使用),所要電力は太陽光パネルと水力発電装置2基で賄う。このためGHG排出を航空輸送比最大99パーセント,コンテナ船比で最大90パーセント削減可能とされ,設計上バラスト水は不要,有害燃料はなく海中騒音もないため生物多様性保護にも貢献できる。初航海は2026年後半を目指し,28年までに5隻に拡充,週1便で年間4万8,000トンの輸送を計画している。武田薬品は初の帆船による医薬品のサステナブル輸送へ新時代を開く。 (VELA TRANSPORT)
スイスのヴァイキングがヴァイキング・リバー・クルーズのブランドで運航するメコン川用クルーズ客船ヴァイキング・トンレViking Tonleが,9月16日,ベトナムで引き渡された。船名はクメール語の「淡水」に由来するという。全長約79メートル,船客80人。船内は北欧調にまとめられ,3層のデッキに40の客室とプール,スパ,スカイバーなどを設け,ベトナム,カンボジアにまたがるメコン川クルーズ用に特化して設計されている。デビューは10月27日を予定し,ベトナムのホーチミンからカンボジアのシェムリアップへの15日間クルーズ“壮麗なるメコン” に就く。2022年に就航したヴァイキング・サイゴンViking Saigonの姉妹船である。 (VIKING RIVER CRUISES)
米セレブリティ・クルーズの「エッジ・クラス」5番船セレブリティ・エクセルCelebrity Xcelが,去る9月海上試運転を成功裏に終了した。来たる11月9日にフォート・ローダーデイル発着のメキシコへのプレクルーズでデビューする。このシリーズは当初の13万トン型から,3番船以降14万トンに拡大されており,本船はその3隻目。ミュージアムのような「セレブリティ・フラッグシップストア」や新設レストラン,アクティビティに加え,複合施設「エデン」を「ザ・バザール」と改め,寄港地文化や味覚,景色やお祭りまでの体験スペースとしたのが特徴。141,420総トン,船客定員3,260名。ビスケー湾でのテストは9月13日までに終え,建造所に帰着した。 (CELEBRITY CRUISES)
米ディズニー・クルーズ・ラインは9月10日,建造中のディズニー・アドヴェンチャーDisney Adventure(約208,000総トン,船客約6,700人)のデビューを延期すると公表した。シンガポールを拠点に運航する当初の12月15日発の予定は2026年3月10日発に変更され,この間のクルーズはキャンセルされ返金などの対応をとる。同社では建造作業中に予期せぬ遅延が発生し,乗客が期待する高い基準を細部まで満たすための措置としている。ディズニーは破綻したゲンティン・ホンコン傘下ドリーム・クルーズ向けの同船を購入。マイヤー・ヴェルフトの主導でヴィスマールの旧MVヴェルフテンで工事を継続し,去る9月1日に1回目の海上試運転を実施した。 (DISNEY CRUISE LINE)
米サンストーン・マリタイム・グループのチャーター用極地探検クルーズ客船の引渡し式が9月9日,建造所の中国招商局重工(江蘇)海門で行なわれた。連続建造してきた「インフィニティ・クラス」の7番船で最終船となる。8,178総トン,全長104.4メートル,最高速力16.5ノット,船客170人で,アイスクラスPC6を取得している。豪オーロラ・エクスペディションがチャーターし,来たる12月からタスマニア島周辺クルーズなどに就く。船名はオーストラリアの地質学者・探検家に因んだダグラス・モーソンDouglas Mawsonとなった。オーロラ社の同クラスのチャーターは3隻目。 (AURORA EXPEDITIONS)
米ロイアル・カリビアン・グループ(RCG)の「アイコン・クラス」4番船の起工式が,9月8日,フィンランドのマイヤー・トゥルク造船所で行なわれた。2027年の引渡しを予定し,ロイアル・カリビアン・インターナショナル(RCI)が運航する。250,800総トン,船客約5,600人で,同社LNG燃料客船の5隻目となる。またRCGは9月23日,同級5番船の建造をマイヤー・トゥルク造船所へ正式発注した。2028年の引渡し予定で,さらに発表済みの6隻目に加えて7隻目のオプション契約を結んだことも明らかにした。今回起工された4番船の船名は未発表だが,評価の高い国際海運データベースの「エクアシス」には,ヒーロー・オブ・ザ・シーズHero of the Seasの名前が掲載されている。 (RCI)
商船三井は9月8日,ウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)を4基搭載した新型メンブレン型LNG船の基本設計承認(AiP)を,ロイド船級協会(LR)から取得したと発表した。韓国のHD現代重工(HHI),サムスン重工(SHI)の2社と共同開発した17万4,000立方メートル型で,全長289.9(HHI。イラスト上)/286.9メートル(SHI。同下),幅46.1/45.8メートル。FRP製で高さ最大約49メートル(3段式),幅約15メートルのウインドチャレンジャーを4基搭載する。旗国(船籍国)との安全性評価によりHHIタイプはマーシャル諸島,SHIタイプはリベリアからもAiPを取得した。ブリッジを船体前部に設置してウインドチャレンジャーの搭載数と搭載位置の最適化を両立し,燃費削減効果の最大化を図っている。試算では1航海あたり最大約30パーセント,年平均で15~20パーセントの燃費削減効果(北大西洋航路で検証)が期待されている。現在実船建造に向け詳細設計を実施中である。 (商船三井)
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